チョウチョとガ

下の妹が住んでいるのは東海地方の海沿いの町。割と自然の多いところだ。彼女は自分も幼いころから動物や虫が好きで、彼女の子どもたちにもそれは引き継がれている。子どもたちはダンゴムシを飼ったり、トカゲを追いかけたりしている。そんな妹の家では去年、アゲハチョウの卵を庭先で見つけ、それを室内に持ち込んで観察し、成長してサナギになり蝶になり、外に出すまでをたいそう楽しんで過ごしていた。去年はもうコロナだったので、その様子をうちの母、おばあちゃんと手紙でやりとりなどして、それはコロナ禍の中でも本当に楽しい時間だったように見えた。それで妹宅では今年もやろうということになり、またもや蝶の卵を探し、アゲハチョウの幼虫の餌となる柑橘類の葉っぱなどもしっかり準備し、今現在は準備万端で二度目の蝶の孵化を楽しんでいるところだろう。妹の夫が柑橘類の葉っぱを調達できる部類の仕事をしているおかげもあり、楽しい虫ライフだ。

一方上の妹は関東地方に住んでいる。夫は大手町に勤める証券マンだ。

社宅の団地に住んでいる。(近々出るつもりらしいが)虫に特段興味はなく、ごく普通の、アニメのドラゴンボールを一家でこよなく愛する家庭だ。ベランダで家庭菜園くらいはやるようだ。あまり成功したとは聞かないが。

そんな上の妹の長男のHくんが社宅の近くで何やら蝶の幼虫を見つけたらしい。妹も、おっ、これは蝶の幼虫に違いない。と思い、虫は得意ではないが、子供のために頑張って捕獲し、家に持ち帰ったそうだ。ワクワクする子供。妹もワクワクしたことだろう。さあこれはなんの、どんなチョウチョかな。とルンルンでネットで調べてみると…。それは、蛾の幼虫だった。いやいや、蛾でもいいじゃないか。蝶とどう違うというのか。綺麗な蛾だっている。とそれを聞いた私は思った。そう言った。しかし。落胆した妹が送ってきたその蛾の成虫の写真は、うわ、、ガには悪いけど、これか。よりによってこれか。っていう見た目のやつだった。それで私はさっきの台詞は何処へやら、逃したらいいじゃん。と迷いなく言った。しかし妹曰く、『Hがサナギになるの見たいって。』…らしい。じゃあ、もう育てちゃいなよ!!と私は無責任に意見を一転させた。育ててるうちに愛着も湧くよ!笑 と。自分だったら絶対ないだろう的なことを言う。妹は、だってコレだよ…?ゾッとする…。とか言っている。いくらなんでもゾッとするはないだろう。蛾に失礼というもの。笑 なので、Hくんがゾッとしないなら頑張って飼いな。って言っといた。あはは。泣き顔マークと共に、うん…。という返事があった。これは確かに子どもには良いことだけど、虫嫌いの妹には酷だろうな〜笑 あれは何という名前かは知らないけど、ゴジラモスラとかの、モスラ?みたいなやつだったよ。あれが夜に外から家の蛍光灯とかに飛び込んできたら、めっちゃ逃げるやつだね。まあ、妹よ、頑張れ。下の妹が優雅にアゲハチョウを孵化させていることは、言わないでおくよ。