掃除機

掃除機が壊れた。ついに壊れた。

私は喜んだ。今まで使っていたものが特に気に入らなかったわけではないが、使い倒して壊れたので、堂々と新しい掃除機を選べるのが嬉しいからだ。

電気屋に行き、掃除機をいろいろ見て回る。ネットで一応下調べはしたのだが、やはり実物を見て、さわって、店員さんからオススメ機種などを聞きたいと思ったのだ。

コードレスがいいのかなと、まず見たがやはり吸引力と、手に持つ重さの関係でやめた。そしてサイクロンか紙パックで悩んだが、やはりハウスダストアレルギーのある私としては従来通りの紙パックにすると勝手に決めた。

あれこれ比べるのは楽しかった。吸引力ならこれ、軽いならこれ、かわいいならこれ、と比べまくった。最終的には、三菱の小さなボディーの割には吸引力が高く、値段もお手頃、というモデルに落ち着いた。しかし、私はここで買うつもりはなかった。型番を記憶し、ネットで買おうと思っていたのだ。それの方が絶対安いに決まっている。だが母は、これにしちゃおっか!と三菱に決まる前から何度も連呼し、いや、ちょっと…。と言う私の意思を察しないのだ。始めに、ネットの方が安いよ、と耳打ちしていたのに、忘れているらしい。三度目か四度目の、これにしちゃおっか!で、私はもう諦め、うん、これにしよう。と折れた。隣に店員さんもニコニコしているし、どうしようもなかった。

結果的にその掃除機はとても良かった。コンパクトなのにとてもよく吸い、そしてかわいらしい。しかし、恐る恐るネットを開くと、そこには8千円安い金額が提示されていた。これからは、店では見るだけ!と入念に言っておかなくてはならない、と固く決意した。